2008年07月20日
ガソリンスタンド(SS)の経営戦略を考える④
7月1日(火)に『ガソリンスタンド(SS)の経営戦略を考える③』を書いた。この記事以降、SSのことを書いていなかったので、そろそろ続きを書いていこうと思う。
洗車が重要な理由は以下の6点であり、③の説明まで終えたところであった。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤1台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
トイレットペーパーを買うついでに、ダイヤモンドの指輪を買う人はいないだろう。しかし、ダイヤモンドの指輪を買ったついでにトイレットペーパーを買う人はいるかもしれない。
趣味品が目的買いであるのに対し、日用品はついで買いが顧客にとって最も良いのだ。それは、日用品を「安く、ラクに」買いたいという意識が働いているからである。
洗車は趣味品、ガソリンは日用品である。
先程の論理に戻ると、ガソリンのついでに洗車を購入する流れが不自然なのが分かる。本来であれば、洗車のついでにガソリンを購入する方が顧客にとって自然なのである。
このような点から、洗車を購入していただき、洗車でリピートしていただく中で、ガソリンも購入していただくのがSS側からの最適な提案と言えるだろう。
⑤1台当たりの“粗利益高が高い”こと
月間の1台当たり粗利益高を考えてみよう。
ガソリン:月間の1台当たり給油量×平均のL当たりマージン
洗車:月間の1台当たり洗車回数×洗車の平均単価(粗利)
上記の式によって、ガソリン、洗車それぞれの月間1台当たり粗利益高を算出することができる。私のお付き合い先で計算したところ、以下のようになった。
ガソリン:70L×10円/L=700円
洗車:2回×1,000円/回=2,000円
上記のような結果にも関わらず、皆さんはまだガソリン客が良い客だと考えるだろうか?本来であれば、ガソリン客よりも洗車客を大切にすべきなのである。今までの業界の常識から、ぜひとも多くのSSに脱皮して欲しいと思う。
⑥“労働分配率が低い”こと
時間当たりの労働分配率を考えてみよう。
ガソリン:時給÷(1時間当たり給油量×平均のL当たりマージン)×100
洗車:時給÷(1時間当たり洗車台数×洗車の平均単価(粗利))×100
上記の式によって、ガソリン、洗車それぞれの労働分配率(生産性)を算出することができる。労働分配率とは、人件費/付加価値のことである。これに関しても、私のお付き合い先で計算したところ、以下のようになった。
ガソリン:650円/時÷(100L/時×10円/L)×100=65%
洗車:650円/時÷(6台/時×1,000円/台)×100=11%
正社員も時給換算したところ、SS全体で時給は650円/時であった。
50%を越えると通常は赤字のため、ガソリンだけを販売していると赤字であることは明白である。これは現在の経営状況の厳しさからも、理解できるのではないかと思う。
以上のように、SS業界には多くの間違った常識がある。コンサルタントの多い業界のわりには、業界の経営レベルが向上していない。私は同じコンサルタントという職種として、少なからずこのような状況に怒りを感じているのだ。
構造的不況産業と言われるSS業界において、私のお付き合い先は素晴らしい業績を上げている。不定期のため、次回がいつになるのかは自分でも分からないが、次回からは私のお付き合い先が取り組んでいる内容に言及していきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html
洗車が重要な理由は以下の6点であり、③の説明まで終えたところであった。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤1台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
トイレットペーパーを買うついでに、ダイヤモンドの指輪を買う人はいないだろう。しかし、ダイヤモンドの指輪を買ったついでにトイレットペーパーを買う人はいるかもしれない。
趣味品が目的買いであるのに対し、日用品はついで買いが顧客にとって最も良いのだ。それは、日用品を「安く、ラクに」買いたいという意識が働いているからである。
洗車は趣味品、ガソリンは日用品である。
先程の論理に戻ると、ガソリンのついでに洗車を購入する流れが不自然なのが分かる。本来であれば、洗車のついでにガソリンを購入する方が顧客にとって自然なのである。
このような点から、洗車を購入していただき、洗車でリピートしていただく中で、ガソリンも購入していただくのがSS側からの最適な提案と言えるだろう。
⑤1台当たりの“粗利益高が高い”こと
月間の1台当たり粗利益高を考えてみよう。
ガソリン:月間の1台当たり給油量×平均のL当たりマージン
洗車:月間の1台当たり洗車回数×洗車の平均単価(粗利)
上記の式によって、ガソリン、洗車それぞれの月間1台当たり粗利益高を算出することができる。私のお付き合い先で計算したところ、以下のようになった。
ガソリン:70L×10円/L=700円
洗車:2回×1,000円/回=2,000円
上記のような結果にも関わらず、皆さんはまだガソリン客が良い客だと考えるだろうか?本来であれば、ガソリン客よりも洗車客を大切にすべきなのである。今までの業界の常識から、ぜひとも多くのSSに脱皮して欲しいと思う。
⑥“労働分配率が低い”こと
時間当たりの労働分配率を考えてみよう。
ガソリン:時給÷(1時間当たり給油量×平均のL当たりマージン)×100
洗車:時給÷(1時間当たり洗車台数×洗車の平均単価(粗利))×100
上記の式によって、ガソリン、洗車それぞれの労働分配率(生産性)を算出することができる。労働分配率とは、人件費/付加価値のことである。これに関しても、私のお付き合い先で計算したところ、以下のようになった。
ガソリン:650円/時÷(100L/時×10円/L)×100=65%
洗車:650円/時÷(6台/時×1,000円/台)×100=11%
正社員も時給換算したところ、SS全体で時給は650円/時であった。
50%を越えると通常は赤字のため、ガソリンだけを販売していると赤字であることは明白である。これは現在の経営状況の厳しさからも、理解できるのではないかと思う。
以上のように、SS業界には多くの間違った常識がある。コンサルタントの多い業界のわりには、業界の経営レベルが向上していない。私は同じコンサルタントという職種として、少なからずこのような状況に怒りを感じているのだ。
構造的不況産業と言われるSS業界において、私のお付き合い先は素晴らしい業績を上げている。不定期のため、次回がいつになるのかは自分でも分からないが、次回からは私のお付き合い先が取り組んでいる内容に言及していきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html
2008年07月01日
ガソリンスタンド(SS)の経営戦略を考える③
6月16日(月)、6月19日(木)と2回に渡ってガソリンスタンド(SS)の経営戦略について書いた。私のブログにおける記事アクセス数が最も多く、続きに関する依頼もあるため、そろそろこの続きを書いていきたいと思う。
前回は以下の6点により、洗車が重要であるというところまで話をした。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤一台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
この中の①に関しては前回のブログに記載したので、今回は②③についての話をしようと思う。
まずは、以下のグラフを見ていただきたい。

これは縦軸に“単価”、横軸に“普及率”をとった2×2のマトリックスである。私は“油外商品マトリックス”と呼んでいるが、このマトリックスで考える方法はどの業界でも共通なので、他業界の人にもぜひ活用してもらいたい。
基本的に商品は右上の低普及率・高単価の趣味品として生まれ、左下の高普及率・低単価の当たり前商品として単価が下がっていく運命にある。まずは、この商品が生まれてから死んでいくまでの流れを押さえておきたい。
燃料油、タイヤ、オイル、車検といった商品は、お客様にとって買うのが当たり前の商品である。「買わなければいけないから買っている」商品とも言える。
「ガソリン入れたくてしょうがないから、いつもより余分に走っちゃった。」
「車検やりたい!」
「オイル入れたい!」
「タイヤ変えたい!」
「バッテリー変えたい!」
上記のようなことがないことからも、燃料、車検、オイル、タイヤ、バッテリー等は趣味品でないことが分かる。
燃料 : 入れなければいけない商品
車検 : 法律でやらなければいけないと決まっている商品
オイル・バッテリー・タイヤ : 変えなければいけない商品
さて、買わなければいけない商品は『どのように購入したい』であろうか?
お客様の気持ちになってみれば、すぐに分かるであろう。『より安く、より便利に』買いたいのである。だからこそ、価格競争に巻き込まれるか、立地の良い(面積の大きい)SSに負けてしまうのがオチである。最近のセルフSSへの顧客流出の状況を見れば明らかであろう。
しかし、洗車は唯一の趣味品である。価格競争に陥りにくく、なおかつお客様に対して差別化しやすい。SS側からお客様に対して洗車をする動機付けができれば、即時に収益が拡大する商品なのである。
また、先程の油外商品マトリックスを見ていただければ、“価格の幅(価格帯)が広い”ことは明白であろう。“価格の幅(価格帯)が広い”というのは、自社の都合で様々な販売戦略を立てることができることを意味している。
次回は、④⑤⑥を簡単に考察して本題へと話を進めていきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html
前回は以下の6点により、洗車が重要であるというところまで話をした。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤一台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
この中の①に関しては前回のブログに記載したので、今回は②③についての話をしようと思う。
まずは、以下のグラフを見ていただきたい。
これは縦軸に“単価”、横軸に“普及率”をとった2×2のマトリックスである。私は“油外商品マトリックス”と呼んでいるが、このマトリックスで考える方法はどの業界でも共通なので、他業界の人にもぜひ活用してもらいたい。
基本的に商品は右上の低普及率・高単価の趣味品として生まれ、左下の高普及率・低単価の当たり前商品として単価が下がっていく運命にある。まずは、この商品が生まれてから死んでいくまでの流れを押さえておきたい。
燃料油、タイヤ、オイル、車検といった商品は、お客様にとって買うのが当たり前の商品である。「買わなければいけないから買っている」商品とも言える。
「ガソリン入れたくてしょうがないから、いつもより余分に走っちゃった。」
「車検やりたい!」
「オイル入れたい!」
「タイヤ変えたい!」
「バッテリー変えたい!」
上記のようなことがないことからも、燃料、車検、オイル、タイヤ、バッテリー等は趣味品でないことが分かる。
燃料 : 入れなければいけない商品
車検 : 法律でやらなければいけないと決まっている商品
オイル・バッテリー・タイヤ : 変えなければいけない商品
さて、買わなければいけない商品は『どのように購入したい』であろうか?
お客様の気持ちになってみれば、すぐに分かるであろう。『より安く、より便利に』買いたいのである。だからこそ、価格競争に巻き込まれるか、立地の良い(面積の大きい)SSに負けてしまうのがオチである。最近のセルフSSへの顧客流出の状況を見れば明らかであろう。
しかし、洗車は唯一の趣味品である。価格競争に陥りにくく、なおかつお客様に対して差別化しやすい。SS側からお客様に対して洗車をする動機付けができれば、即時に収益が拡大する商品なのである。
また、先程の油外商品マトリックスを見ていただければ、“価格の幅(価格帯)が広い”ことは明白であろう。“価格の幅(価格帯)が広い”というのは、自社の都合で様々な販売戦略を立てることができることを意味している。
次回は、④⑤⑥を簡単に考察して本題へと話を進めていきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html
2008年06月19日
ガソリンスタンド(SS)の経営戦略を考える②
前回(6月16日(月))のブログにおいて、ガソリンスタンド(SS)の経営戦略について書いた。この記事に対する反響が大きかったため、今回は続きを書きたいと思う。
「洗車を中心に経営を行わない限り、いつまでも価格競争の商売から脱却できず、資本力のないSSは勝ち残ることができない。」
と述べたが、なぜ洗車が重要なのであろうか?
今回は洗車の重要性に関して、書いていきたいと思う。
洗車という商品は非常に面白い。
SSの取り扱い商品の中でも、洗車は変わった存在である。
皆さんはライフサイクルという言葉をご存知だろうか?
人間が生まれ、成長し、やがて死んでいくように、すべての業界・業種・商品には“ライフサイクル”というものが存在している。次の図を見ていただきたい。

この図の横軸は“時間”、縦軸は“マーケット(市場規模)”を表している。
図の理解を進めていただくため、まずは一般的な話をしたい。
普及率が上がり、市場規模がピークに達した“転換点”を境に徐々に需要と出荷量は減少していく。ところが、供給側は消費者にさらに新しい商品を買わせようと、次なる新商品を市場に投入する。こうして、安定期には需要と供給のギャップが拡大し、度を越した供給過剰の状態になるのである。
ここで注目したいのは、転換点の前では『需要>供給』であるが、転換点を過ぎると『需要<供給』という関係になることだ。
図にはSS業界・商品の位置が書かれている。主な油外商品のうちオイル、タイヤが転換点を過ぎ、燃料、車検については成熟市場となったのに対して、『洗車だけが唯一成長期』にある。最近ではコーティング洗車等の高付加価値商品の開発、提供が積極的になされており、SS業界の努力次第で市場規模拡大、自SSの収益拡大が見込める商品である。
SSの洗車は普及率20%程度であり、これが洗車の最大の魅力である。
先にすべてを挙げてしまうと、洗車がポイントである理由は以下の6点である。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤一台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
この①~⑥が洗車中心の経営手法を私が勧める理由なのであるが、この部分に関してはまた次の機会に説明していきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html
「洗車を中心に経営を行わない限り、いつまでも価格競争の商売から脱却できず、資本力のないSSは勝ち残ることができない。」
と述べたが、なぜ洗車が重要なのであろうか?
今回は洗車の重要性に関して、書いていきたいと思う。
洗車という商品は非常に面白い。
SSの取り扱い商品の中でも、洗車は変わった存在である。
皆さんはライフサイクルという言葉をご存知だろうか?
人間が生まれ、成長し、やがて死んでいくように、すべての業界・業種・商品には“ライフサイクル”というものが存在している。次の図を見ていただきたい。
この図の横軸は“時間”、縦軸は“マーケット(市場規模)”を表している。
図の理解を進めていただくため、まずは一般的な話をしたい。
普及率が上がり、市場規模がピークに達した“転換点”を境に徐々に需要と出荷量は減少していく。ところが、供給側は消費者にさらに新しい商品を買わせようと、次なる新商品を市場に投入する。こうして、安定期には需要と供給のギャップが拡大し、度を越した供給過剰の状態になるのである。
ここで注目したいのは、転換点の前では『需要>供給』であるが、転換点を過ぎると『需要<供給』という関係になることだ。
図にはSS業界・商品の位置が書かれている。主な油外商品のうちオイル、タイヤが転換点を過ぎ、燃料、車検については成熟市場となったのに対して、『洗車だけが唯一成長期』にある。最近ではコーティング洗車等の高付加価値商品の開発、提供が積極的になされており、SS業界の努力次第で市場規模拡大、自SSの収益拡大が見込める商品である。
SSの洗車は普及率20%程度であり、これが洗車の最大の魅力である。
先にすべてを挙げてしまうと、洗車がポイントである理由は以下の6点である。
①“成長期”にある唯一のSS関連商品であること
②SS関連商品唯一の“趣味品”であること
③“価格の幅(価格帯)が広い”ため販売しやすいこと
④趣味品で固定化を図ることで“その他油外商品の販売が容易”になること
⑤一台当たりの“粗利益高が高い”こと
⑥“労働分配率が低い”こと
この①~⑥が洗車中心の経営手法を私が勧める理由なのであるが、この部分に関してはまた次の機会に説明していきたいと思う。
<関連記事:ガソリンスタンド(SS)/商品>
http://nakayama.funai-web.com/c28.html

